75歳の女性。16年前に左上肢の安静時振戦が出現し、その後左下肢にも認められ動作緩慢となった。近医脳神経内科を受診しParkinson病と診断されL-dopaの内服治療が開始された。開始当初はL-dopaの効果を認めたが、パーキンソニズムの増悪に伴い徐々にL-dopaを増量された。最近L-dopa服用後30分程度で突然動けなくなり、1日の中で突然の無動を何度も繰り返すという。
この現象はどれか。
1→wearing-off現象とは、薬効の持続時間が短縮し服用後2時間程度で薬物の効果が切れてしまい、症状が悪化することを言う。本症例の現象とは合致しないため誤り。
2→Westphal現象とは、ある筋を受動的に短縮させた場合に、短縮させた筋において持続的な筋収縮が誘発される現象のことである。本症例では認められないため誤り。
3→pusher現象とは脳卒中患者に認められる姿勢定位の障害であるため誤り。
4→on-off現象とは、症状が薬で抑えられている状態(on)と薬の効果が認められない状態(off)が突然スイッチが入ったり切れたりするように急変する現象である。問題文の症例は「服用後30分程度で突然動けなくなり、1日の中で突然の無動を何度も繰り返す」という現象が認められており、on-off現象と判断できる。
5→frozen現象はすくみ足のことであり誤り。